いま発信者が”Substackに移る”のは、お金じゃなく”心地よさ”の問題かもしれない
「Substackに移った人が増えている。なぜ?」
と思っている方へ。たぶん、お金じゃないんです。
世界中の発信者がSubstackに集まっている理由を、収益化のしやすさで語る記事は多いです。
・手数料10%
・有料購読
・サブスク収益
たしかに事実ですが、たぶん本当の理由はもっと別のところにあります。
広告がない場所だから、空気が違う。
煽りもアンチも流れてこない場所で、自分の発信がちゃんと届く。コメント欄が穏やかで、誰かと丁寧にやり取りできる。発信を続けても、心がすり減らない。
これが、いま多くの書き手が”心地よさ”を求めて移ってきている、本当の理由かもしれません。
この記事は、ぼくがSubstackで感じている”空気”の話を、観察と実体験を交えて書いてみます。
いま、SNSに疲れていませんか?
ちょっと立ち止まって、考えてみてください。
タイムラインを開くたびに、心がすり減る感覚
朝、SNSを開く。最初に目に入るのは、誰かの煽り合い。次に来るのは、知らない人の怒りの投稿。スクロールすれば、過激な見出しのニュースとそれに群がるコメント欄。
少し見ただけで、もう疲れている。
「これが日常になってる時点で、おかしいかもしれない」
そう感じたことがある人は、たぶん少なくないはず。
何のために発信していたのか、わからなくなる瞬間
発信する側にも、似た疲れがあります。
何かを書いて投稿すると、まったく見当違いの絡みが来る。丁寧に書いた長文より、煽った一言のほうが伸びる。誰かと議論しているうちに、もとのテーマがどこかに消えていく。
「自分は何のために発信していたんだっけ?」
そう思う瞬間が、何度もありました。
「治安の良い場所」がどこにもない時代
個人の感覚の問題ではなく、プラットフォーム全体で起きている現象です。
タイムラインに広告が流れ、煽りが流れ、炎上が流れる。子どもに見せたくない投稿が、ふと目に入る。「治安が良くて、新しい人とも繋がれて、ちゃんと一定の規模がある場所」が、どこにもない。
そんな時代を、ぼくたちはいま生きています。
SNSが荒れていく構造を、冷静に見てみる
なぜこんなことになったのか。ビジネスモデルの構造からみると、必然的に起きていることです。
広告ビジネスモデルが優先するもの
多くのSNSは、広告で収益を上げる仕組みで動いています。プラットフォームの収入源が広告なので、広告主に喜ばれる状態を作る必要があるんですよね。
では、広告主が喜ぶ状態とは何か。
・ユーザーが長く滞在する
・ユーザーが何度も訪れる
・ユーザーがたくさんの広告を見る
つまり、プラットフォームの目標は「ユーザーの滞在時間を最大化する」ことになります。
「中毒装置化」が起きる構造
滞在時間を伸ばすために、プラットフォームはユーザーが離れにくいコンテンツを優先的に表示します。
・ショート動画
・ドゥームスクロール(ぼんやり眺め続ける)
・過激な見出し
・感情を揺さぶる内容
心理的に離れにくいものほど、アルゴリズムが評価する。
結果として、SNSは「人と人が繋がる場」から「人の注意を奪い合う装置」に変質していきます。
広告ビジネスモデル、というカテゴリ全般で起きている構造的な現象です。
炎上・煽り・ゴシップが流れる仕組み
エンゲージメント(反応の量)を集めるためには、感情を強く動かすコンテンツが有利です。
・怒り → 反論を呼ぶ
・不安 → 共感を呼ぶ
・嘲笑 → 拡散を呼ぶ
冷静で穏やかな投稿より、感情を揺さぶる投稿のほうが伸びます。
だから、発信者も無意識のうちに、感情を煽る方向に流れていく。プラットフォームも、そうした投稿を優先的に表示する。
これが積み重なった結果、いまのSNSのタイムラインがあります。
“誰かが悪い”ではなく、”構造の問題”
特定の企業や人を責めても何も変わらないということです。
これは、広告で稼ぐビジネスモデルが必然的に行き着く結果です。経営者が悪いわけでも、ユーザーが悪いわけでもない。構造そのものが、こういう現象を生み出している。
だからこそ、構造が違う場所が必要になってきています。
Substackは、まったく違う構造で動いている
ここで、Substackの話に戻ります。
他のSNSと根本的に違うのは、収益の仕組みそのものです。
Substackには広告がない(公式が明言)
Substack公式が、こうハッキリ書いています。
Substackは、読者とクリエイターの直接的な関係が健全な情報エコシステムを作ると信じている。だからこそ、広告収入ではなくサブスクリプションのみに依存するビジネスモデル。
出典:Substack公式「Can my publication host sponsored ads?」
タイムラインに広告が流れない。出稿の仕組みそのものがない。
これが、ユーザー体験を根本から変えています。
収益はクリエイターのサブスクから10%
Substackがどう稼いでいるかというと、書き手が読者から受け取る有料購読料の10%です。
つまり、Substackが儲かるためには、書き手が良いコンテンツを書いて、読者が満足してお金を払い続ける必要があります。
この構造が、Substackの空気を決めています。
三者が同じ方向を向く構造
整理すると、こうなります。
Substackでは、
・プラットフォーム
・書き手
・読者
の3者が、同じ方向を向いているんです。
書き手は「読者に長く読み続けてほしい」と思って書く。
読者は「お金を払う価値のある内容」を求めて読む。
プラットフォームは「両者の関係が長く続くこと」が収益になる。
利害が対立しない構造です。
「中毒装置化」のインセンティブが、そもそも存在しない
Substackには、ユーザーをタイムラインに釘付けにする動機が存在しません。
代わりに、じっくり読まれる長文記事を優先的に表示する仕組みが組まれています。実際、Substackのアルゴリズムは長文ブログ記事を推奨する設計になっています。
ショート動画もない。ドゥームスクロールフィードもない。気がついたら時間が溶けていたということが、起きにくい設計です。
データで見る”心地よさ”を支えるSubstackの規模
「広告がないSNSは、規模が小さいから成り立つだけでは?」と思われるかもしれませんが、全然そんなことありません。
クリエイター支払総額は約675億円(2025年)
数字で見てみます。
2025年、Substackを通じて書き手に支払われた総額は約4億5,000万ドル(約675億円)。2023年の3億ドルから増加している。
出典:Best Writing「35 Substack Statistics for Writers (2026)」
広告なしのビジネスモデルで動いているプラットフォームとしては、世界的に見ても異例の規模です。
年商67億円・評価額1,650億円のビジネスとして成立
Substack社自体の規模も見ておきます。
Substackの年間収益は約4,500万ドル(約67億円)(2025年7月時点)。
同社の評価額は11億ドル(約1,650億円)(2025年7月のSeries C資金調達後)
出典:Sacra「Substack revenue, valuation & funding」
「広告なしSNSなんて、ビジネスとして成り立たないでしょ」と思われていた時代もあったかもしれませんが、サブスクリプションだけで、ビジネスを作れる時代になっています。
開封率44%(メール業界平均の2倍)が示す”届く場所”
Substackのメール開封率は平均44%、業界標準のほぼ2倍
出典:Best Writing(同上)
これは、書き手の発信が、ちゃんと読者に届いていることを示す数字です。
広告に埋もれず、アルゴリズムに選別されず、書いたものが届く場所として、Substackは機能している。
広告モデルとの対比(40,000PV/日でやっと月15万円)
もう一つ、衝撃的な対比を共有します。Substack公式が、広告モデルの実態をこう書いています。
広告モデルでは、書き手や創作者が毎日40,000ページビューを集めて、ようやく月$1,000(約15万円)の収益になる。
出典:Substack公式「Start a paid newsletter on Substack」
毎日4万PVで、月15万円。これが広告モデルで生きる発信者の現実です。
一方、Substackで月15万円を作ろうとしたら、月額500円の有料購読者が300人いれば達成できる計算になります(手数料を引く前)。
「多くの人に薄く届ける」モデルから、「少ない人に深く届ける」モデルへ。これが、Substackが提示している新しい構造です。
ぼくが感じている”空気の違い”
ぼく自身、Substackで発信を続けていて、他のSNSとは明らかに違うと感じる瞬間がいくつかあります。(肌感覚の話)
ネガティブなコメントやアンチが流れてこない
XやInstagramで発信していると、ふとした瞬間に飛んでくるネガティブな絡み・揚げ足取り・知らない人からの否定的な意見。
Substackでは、これがほぼ起きません。
コメントをくれる人は、わざわざぼくのpublicationを購読してくれている人たち。ふらっと通りすがって、雑にコメントしていく人がいない。読者と書き手の関係が、構造的に近いんです。
煽りや炎上ネタを見ない日常
タイムライン(Notesフィード)を見ても、煽りや炎上ネタがほとんど流れてきません。
書き手たちは、長く読まれる発信を意識しているので、無理に過激なことを書く動機がない。読者も、煽り合いを楽しむ場所として使っていない。
結果として、Notesを開いても疲れない。むしろ、誰かの丁寧な発信を見て、何かを学んだり考えさせられたりする。
インプットの場所として機能しているんです。
自分の発信が”届いている”感覚がある
そして、何より違うのは、書いたものが、ちゃんと読まれている感覚です。
XやInstagramでは、フォロワーが増えても「届いている実感」が薄れていく現象がありました。アルゴリズムに選別されて、自分の発信が誰に届いているのかわからない。
Substackでは違います。送ったメールが読まれる。コメントが返ってくる。書いた言葉が、ちゃんと誰かのところに届いて、読まれている。
この当たり前の感覚が、Substackには戻っているんです。
気持ちが整う場所として機能している
毎日Substackを開く時間が、自分の気持ちを整える時間になっています。
人に煽られない。比較で疲弊しない。誰かの発信を読んで、自分の発信を書いて、また読んで。
これは、いま他のSNSで失われていた感覚かもしれません。
Substackは「広告を絶対入れない」と言っているわけじゃない
「Substackは広告がない最高のプラットフォーム!」と煽るのはかんたんですが、100%正確ではないです。
将来的に広告が入る可能性はある(共同創業者の発言)
Substackの共同創業者Hamish McKenzie氏は、こう発言しています。
広告は興味深いビジネス。もしかしたら、遠い未来に。
出典:Digiday「Ad-free platform Substack isn’t ruling out ads after all」
つまり、将来的に広告を入れる可能性をゼロにはしていません。
過去にも、BeReal・Netflix・Instagram・Redditなど、広告に懐疑的だったプラットフォームが、後から広告を導入した事例は数多くあります。
Substackも、いつか同じ道をたどる可能性は否定できません。
でも、現状の構造は違う
現時点でのSubstackは、広告がないプラットフォームです。
McKenzie氏もこう続けています。
ソーシャル機能の目的はクリエイターの成長を支援することであって、中毒性のあるドゥームスクロールフィードを作って広告で収益化することではない。
出典:Digiday(同上)
つまり、いまのSubstackは、広告ビジネスとは別の構造で動いているってことです。
SNSが楽しかった頃の感覚を、Substackで取り戻せるかもしれない
最後に、少しだけエモい話を。
かつてSNSは、つながりの場だった
10年以上前、SNSはもっと違う場所でした。
同じ興味の人と出会って、リアルな友達になる。同業者とつながって、仕事の幅が広がる。日々のできごとを共有して、コミュニケーションを楽しむ。辛いことがあったら吐き出して、励まされる。
そういう場所だったはずです。
気軽に話せて、本音を言えて、仲間ができる場所
「インターネットの友達」という言葉が、ちゃんと意味を持っていた時代がありました。
会ったこともないのに、深く語り合える。お互いの発信を読み合って、共通点を見つけて、ふと心を通わせる。人と人が、純粋につながれた場所でした。
それがいつのまにか、煽り合いや炎上、広告ばかりの場所に…。
その感覚が、Substackに残っている
ぼくがSubstackで感じる”心地よさ”の正体は、たぶんこれです。
かつてのSNSにあった”つながりの感覚”が、ここには残っている。
気になる発信者をフォローして、丁寧に書かれた記事を読んで、コメントで対話する。引用リスタックでお互いに刺激し合う。
「数」じゃなく「人」と向き合える場所
Substackでは、フォロワー数の多寡より、読者一人ひとりとの関係のほうが大事になります。
10人の読者と深く繋がるほうが、1万人の薄い関係より、書き手として満たされる。これは、いま他のSNSで忘れかけていた感覚です。
「人と向き合う」という当たり前のことが、できる場所が、Substackの最大の価値です。
まとめ|お金じゃなく、心地よさで選んでもいい
Substackについて、もう一度ポイントを整理します。
世界中の発信者がSubstackに集まっている理由は、煽り合いに疲れた人が、心地よく発信できる場所を求めているから。ぼくも、その一人です。
「Substackに移ろうかな」と思っているなら、まずは読者として誰かのpublicationを読んでみるところから始めてみましょう。
タイムラインに広告がない感覚。煽りがない読書体験。誰かの丁寧な言葉が、心に届く時間。
お金じゃなく、心地よさ。
贅沢でも逃げでもなく、自分を大事にする選択です。
本記事の情報は2026年4月時点で確認できた内容をもとにしています。Substackの機能や仕様は更新される可能性があるため、最新の情報は各出典元でご確認ください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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